「死刑よりも、勇者の方がマシだと思ったか?——ようこそ、死ぬことすら許されない『勇者刑』のブラック戦場へ」
- bookman null
- 1月21日
- 読了時間: 4分
更新日:1月26日
「死なない」ことが最大の新罰?『勇者刑に処す』が全人類に突きつける、ブラック企業の究極形。
「勇者」と聞いて、何を思い浮かべますか?
聖なる剣、仲間との絆、街の人々からの歓声、そして魔王を倒した後の輝かしいエンディング……。
もしあなたがそんなキラキラしたファンタジーを期待しているなら、今すぐその夢を窓から投げ捨ててください。
今回ご紹介する『勇者刑に処す 懲罰勇者隊九〇〇四番刑務区』(著:ロケット商会)に登場する勇者たちは、誰一人として国民から愛されていません。
それどころか、彼らは**「大罪を犯して、死ぬよりも重い刑罰として勇者にされた」**野郎どもの集まりなのです。
1. 勇者は「職業」ではない、「刑罰」である
本作の設定は、初手からフルスロットルで絶望的です。
この世界における勇者とは、英雄の称号ではなく、**「最も残酷な死刑」**の代替品。
* 前線で戦って死んでも、即座に蘇生させられる。
* 逃げ出さないように、常に監視が張り付いている。
* 魔王現象というブラック企業を相手に、24時間365日休みなしのデスマーチ。
これを「ブラック企業」と呼ぶのは、ブラック企業に対して失礼かもしれません。なんせ、死ぬことすら許されないんですから。まさに「定年退職(寿命)まで過労死をループし続ける仕事」です。
2. キャラクターが全員「性格破綻者」
主人公のザイロ・フォルカートは、元聖騎士団長でありながら、部下を皆殺しにしたという大罪を背負った男。
……これだけ聞くとクールなダークヒーローに見えますが、彼を取り巻く「懲罰勇者」たちのメンツが濃すぎて、ツッコミが追いつきません。
* 詐欺師: 口を開けば嘘しか言わない。
* テロリスト: 爆発こそが芸術だと言わんばかりの狂気。
* 異教の神官: 信じている神様がそもそもヤバい。
そんな「地獄の混ぜるな危険」状態のメンバーを束ねるのが、ザイロの役目。
しかも、ザイロを騎士と呼ぶ「女神」テオリッタも現れます。
このザイロとテオリッタのどこか噛み合っている(物理的に噛み付く勢いの)やり取りは、本作の大きな魅力です。
3. 「絶望」の描き方が、もはや芸術的
この作品、とにかく世界観がハードです。
魔王現象の侵攻によって人類は滅亡の危機に瀕しており、森からは異形の怪物が次々現れます。戦場描写は凄惨の一言。
しかし、なぜかページをめくる手が止まらない。
それは、著者のロケット商会先生による**「皮肉の効いたユーモア」**が絶妙だからです。
> 「俺たちは勇者だ。人々の盾となり、希望の光となる……なんて思ってる奴は、この部隊には一人もいねえよ」
>
こんなセリフが吐き捨てられる現場で、戦士たちは今日も泥水をすすり、内臓をぶちまけ、そして蘇生されて再び戦場へ放り込まれます。
この**「究極の不条理」を笑い飛ばすようなドライな文体**が、読む者のアドレナリンをドバドバ出してくれるのです。
4. こんな人にオススメしたい(というか読んでください)
* 「最近の異世界もの、甘口すぎて飽きたな」という激辛マニアの方
* 「上司を魔王軍に突き出したい」と毎日思っている社畜の皆様
* 「死ぬまで働け」という言葉に、ある種のロマンを感じてしまう危ない貴方
本作は、単なるダークファンタジーではありません。
「生きるとは何か」「正義とは何か」という重厚なテーマを、「地獄の釜茹で」にプロテインをぶち込んだような勢いで描き出す、唯一無二のエンターテインメントです。
結論:読むだけで、あなたの悩みは「マシ」に思える。
もしあなたが今日、「仕事に行きたくないな」「人生辛いな」と思っていたとしたら、ぜひ『勇者刑に処す』を開いてみてください。
そこには、首に爆弾を巻かれ、死んでも蘇生され、化け物相手に特攻をかけ続ける勇者たちがいます。
彼らに比べれば、月曜日の朝の満員電車なんて、まるでお花畑の散歩のようなもの。
……いや、それは言い過ぎかもしれませんが、少なくとも**「こいつらが足掻いてるんだから、俺ももうちょっとだけ適当に生きるか」**という、奇妙な勇気が湧いてくるはずです。



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